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西洋比較演劇研究会 7 月例会のお知らせ

暑い最中の例会となりますが、前期最後の例会となります。奮ってご参加ください。後
期の日程につきましてはまた追ってお知らせいたします。
西洋比較演劇研究会 7月例会のご案内
日時 2009年7月25日(土) 14:00 〜18:00
場所 成城大学 731教室
1 研究発表
発表者 森佳子
題目 オペレッタにおける政治的および芸術的戦略—オッフェンバック《にんじ
ん王》を例に
要旨
 大衆的舞台ジャンルであるオペレッタは1855年頃のパリにおいて、オッフェンバック
やエルヴェによって社会風刺を目的として創造された。時代は軽佻浮薄と形容された第
二帝政にあたり、人びとは「自嘲」的なエスプリに満ちたオッフェンバックのオペレッ
タに満足していた。しかしながら1870年の普仏戦争後、状況は一変する。すなわち戦後
、自信喪失に陥ったパリの人びとに、逆にナショナリズム的意識を高めるようなルコッ
クなどの作品の方が支持されるようになったのである。
 オッフェンバックがサルドゥとともに創作した《にんじん王》はまさにその時期にあ
たる、パリ・コミューン後の1872年1月にゲテ座で初演された。この作品は「オペレッ
ト・フェリー」と呼ばれ、フェリーという舞台転換が多くスペクタクル性の強い大衆的
舞台ジャンルとオペレッタを融合したものである。その上演はゲテ座のディレクターの
戦略によってかなり前から企画されていたが、戦争の勃発によってその風刺が時代に合
わないものとなり、作者たちは多くの部分の変更を余儀なくされたという。
 《にんじん王》は一見フェリーというベールを被っているが、実は政治色の濃い作品
で、作者たちの意図はさまざまな部分に隠されている。本発表では第1次資料にあたり
ながらこれらを検証し、この作品に半ブルジョワ半庶民的なフェリーの要素を取り入れ
た作者たちの狙いは一体何だったのか、そしてその狙いは当たったのかについて明らか
にする。そしてオペラと比較して不当に評価され、大衆芸術としての商業的成功を求め
られているオペレッタの政治的、芸術的戦略を彼らはどのように考えていたのか、結論
付けたい。
発表者プロフィール 
森佳子(もりよしこ) 日本大学非常勤講師、早稲田大学GCOE研究員。専門は17世紀か
ら19世紀までのフランスの音楽劇だが、日本のオペラ受容も含めて幅広く研究を行って
いる。主な著書に『笑うオペラ』(2002、青弓社)『クラシックと日本人』(2004、青
弓社)、翻訳にベルリオーズ『音楽のグロテスク』(2007,青弓社)、共著に『初期オ
ペラの研究』(2005、彩流社)、『オペラ学の地平』(2009、彩流社)などがある。
2 国際演劇学会(リスボン)報告
報告者 斉藤偕子・小菅隼人
要旨(小菅氏)
土方巽の代表作『四季のための27晩』の中から「疱瘡譚」(1972)を取り上げ,7月の
国際演劇学会(リスボン)での発表“Hijikata’s Tatsumi’s Way of Rebellion in t
he Age of Political Chaos: A Tale of Small Pox and His Anti-authoritarian Aest
hetics”の内容について報告をします.この月例会の発表では,まず「疱瘡譚」の記録
映像の短縮版(約20分)を見ていただき,作品の基本的な構造を紹介します.次に,こ
の作品に強い影響を与えたであろう時代背景を三里塚成田闘争,水俣病公害闘争,
ハンセン病闘争として,その関連性を考えます.土方巽は発表者の調べた限りでは同
時代の政治に対して明確な発言をしていませんが,多数の映画出演から土方と政治性の
関連について仮説を提示します.
*斉藤先生は、会議のテーマ “Silent Voices, Forbidden Lives” について、どのよ
うな視点でなされるのか、なるべく全体を通して考えてみたいというご意向です。
報告者プロフィール 
斉藤偕子(さいとうともこ) 慶應義塾大学名誉教授。アメリカ演劇研究・演劇評論。
主な著書に『黎明期の脱主流演劇サイト』(鼎書房、2003)、翻訳にテネシー・ウィリ
アムズ『ストーン夫人のローマの春』(白水社、1981)などがある。
小菅隼人(こすげはやと) 慶應義塾大学理工学部教授。シェイクスピアを中心とする
イギリス・ルネサンス演劇、土方巽を中心とする舞踏論などを中心に研究を進めている
。業績:『ハムレット』の翻訳・解説〔『ベスト・プレイズ』(白凰社,2000年)〕、
『腐敗と再生―身体医文化論』(編著,慶應義塾大学出版会,2004)ほか。文部科学
省委託事業、慶應義塾大学デジタル・メディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)「ポ
ート・フォリオBUTOH」プロジェクト・リーダー。

西洋比較演劇研究会回覧

会員の萩原健さんからご自身の関わっていた公演に関しての回覧依頼がありましたので
お知らせします。
(以下貼り付け)
 こんにちは、明大の萩原です。この春の国際舞台芸術祭、フェスティバル/トーキョ
ーで上演された、ドイツのパフォーマンス・グループ〈リミニ・プロトコル〉の『カー
ル・マルクス:資本論、第一巻』に「出演」したことはお伝えしましたが、これがNH
Kで録画されており、今回放映の運びとなりました。番組はNHK教育「芸術劇場」、放
映日・時間は7/10(金)22:00-24:45です。
 なお舞台の録画が流れる前、約15分の「情報コーナー」があり、リミニ・プロトコル
が紹介されますが、ここで私はゲストとして、案内役の礒野佑子アナウンサーの対談相
手になります。
 くわしくは以下のHPを。
http://www.nhk.or.jp/art/current/drama.html
 もしよければ、ぜひごらんください。それではどうぞお楽しみに!
萩原 健