月別アーカイブ: 2013年4月

西洋比較演劇研究会4月総会・例会のご案内

新たな年度の開始がまもなくとなりました。以下のように総会と最初の例会をひらきます。

日時 2013年4月13日(土)14:00〜18:00
場所 成城大学7号館3F・733教室

1 総会
2 研究発表

管理された無秩序:「バナ学バトル★☆熱血スポ魂秋の大運動会!!!!!」における身体と「なりきり文化」

日比野啓(成蹊大学)
アニメの主題歌やアイドルの楽曲を中心としたJポップをサンプリングして大音響で流しながら、制服・軍服姿の男女が踊り、叫び、舞台から客席に向かってなだれ込み、物や液体を投げつける、というバナナ学園純情乙女組(以降「バナ学」)の挑発的で刺激的な公演は、1980年代以降の小劇場演劇とは一線を画し、精神においてアングラ演劇を思い起こさせるものであり、とりわけ観客とのインタラクションに重きをおくそのスタイルは近年の日本の小劇場におけるコミュニケーションのありようを再定義するものであった。その一方で、アングラの実践を理論的に補強するものだった、疎外論にもとづく解放言説—「肉体の叛乱」(土方巽)という言葉が想起させるような—とバナ学は無縁である。バナ学のパフォーマンスが作り出すカオスとは、あらかじめその効果を厳密に計算された、管理されたものであり、パフォーマーたちが振り付けどおりの一糸乱れぬ動きをするさまは北朝鮮のマスゲームまたはナチスドイツ時代の軍隊行進を思わせるものだからだ。にもかかわらず、竹内敏晴ならば「学校的身体」と呼んだかもしれないバナ学のパフォーマーたちの身体は生き生きと躍動しており、生のエネルギーとしか呼びようのないものが劇場には充満している。本発表では、バナ学のこれまでの作品をビデオで紹介しながら、同時代サブカルチャーとの密接な関係、とりわけカラオケ/コスプレ/ニコニコ動画「やってみた」といった、日本的な「なりきり文化」の影響を確認したうえで、これを補助線として、抑圧/解放という二項対立を無効化する新たな身体論の実践としてバナ学の公演を位置づけたい。

日比野啓。成蹊大学准教授。東京大学大学院文学部英文科修士課程、ニューヨーク市立大学演劇学科博士課程修了。編著に『明治・大正・昭和の大衆文化─「伝統の再創造」はいかにおこなわれたか』(彩流社、2008年)など、共著に松本尚久編『落語を聴かなくても人生は生きられる』(ちくま文庫・2012年)など。論文に “Oscillating Between Fakery and Authenticity: Hirata Oriza’s Android Theatre” (Comparative Theatre Review, 11:1 [2012]) など。