月別アーカイブ: 2013年9月

西洋比較演劇研究会10月例会のお知らせ

厳しい夏もようやく終わりを告げようというとしております。研究・観劇にようやく適した季節となりました。

後期第1回例会の詳細をお送りします。
後期開始早々ということもあり、また、翌週の演劇学会の研究集会とも間がないことから、早めのお知らせとさせていただきました。
※なお、次回例会は11月23日(土・祝)明治大学を会場として行う予定です。

日時:10月5日(土)14時-18時
会場:慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎2階大会議室
■住所
〒223-8521 神奈川県横浜市港北区日吉4-1-1
■交通アクセス
・日吉駅(東急東横線、東急目黒線/横浜市営地下鉄グリーンライン)隣接
※東急東横線の特急は日吉駅に停車しません。

〔研究発表〕
熊谷知子「小山内薫の晩年における英雄・偉人劇について—二世市川左団次の演じた『森有礼』、『戦艦三笠』、『ムツソリニ』を中心に—」

〈要旨〉
本報告では、小山内薫(1881〜1928)作・演出、二世市川左団次(1880〜1940)主演による3つの作品、『森有礼』(1926年12月・歌舞伎座、翌年12月歌舞伎座で再演)、『戦艦三笠』(1927年11月・歌舞伎座)、『ムツソリニ』(1928年5月・明治座)の上演を中心に、小山内の晩年における商業演劇との関わりについて考えたい。小山内の晩年といえば、『国性爺合戦』など近松の改作やソ連訪問などがよく知られているが、まさにそれらと同時期の仕事である、上記の英雄・偉人劇の創作をはじめとした数々の商業演劇における仕事については、これまで十分な考察がされてこなかったように思う。たしかに、これらの戯曲は今日の読者の情動を揺さぶるものではない。しかし、上演時の劇評や雑誌の読者投稿を見てみると、当時流行していた伝記劇のなかでも決して評判の悪いものではなく、むしろ多くの観客を喜ばせていたであろうことが想像できる。今回は、この3つの英雄・偉人劇の上演を考察することで、小山内薫の商業演劇との関係について探る端緒としたい。

〈プロフィール〉
熊谷知子
慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。明治大学文学研究科演劇学専攻博士後期課程在籍。小山内薫の宗教信仰や商業演劇との関わりを中心に日本近代演劇を研究している。論文に「「新劇場」と「至誠殿」—小山内薫の宗教信仰における一考察—」(『文学研究論集』37号、2012年)など。

〔研究発表〕
佐野語郎「全体演劇 わがジャンヌ、わがお七」の創造過程と上演の意味

演劇ユニット 東京ドラマポケットvol.3+シアターΧ(カイ)提携公演「全体演劇 わがジャンヌ、わがお七」(作・演出:佐野語郎/2012年8月24日〜26日/東京・両国シアターΧ)の企画段階から上演終了までの創造過程を検証することで、企画の意図・脚本創作の動機・演出および演技などの実際を明らかにし、戯曲の再現・舞台化ではない演劇の自立性および上演における演技・音楽・舞踊・人形(お七とジャンヌ)などのポリフォニックな舞台表現(多声的要素)による全体演劇の可能性について考察したい。また、劇中劇(主人公は歴史上のヒロインではなく、その父と母)を展開させていくコロスたちは、ムーヴメント・合唱・語り・言葉の音楽・講談、そして劇中劇の人物としても加わりその演技の幅と多様性を求められたが、その演劇的存在についても考えたい。
なお、この公演には、西洋比較演劇研究会の皆さんが何人も来場され、2013年1月発行の上演記念誌BOOKLETには五名の方が劇評を寄稿してくださっている。もちろん多くの会員の方は観劇されていないので、本報告では、資料DVD(34分・英文字幕入り)を映写することで、議論がさらに活発になればと願っている。この資料DVDは、公演完全収録版DVD(2時間15分)の映像記録も取り入れながら、まったく新たに公演紹介用として編集したものです。

〈プロフィール〉
佐野語郎
日本橋女学館高等学校非常勤講師。戯曲創作・舞台演出・童話出版の傍ら、高校・大学の演劇教育に携わる。全国研究集会における発表として「戯曲にみる聴覚効果と音楽演劇の多層性」(大手前大学)「演劇ユニットの形成過程と共同体としての特質」(大阪市立大学)ほか。