西洋比較演劇研究会10月例会のお知らせ

後期第一回の例会を以下の通り、開催いたします。お忙しい折かと思いますが、ご参集くださいますようお願い申し上げます。

日時 2014年10月4日(土)14:00-18:00
場所 成城大学3号館3F 大会議室

1 研究発表 田ノ口誠悟 14:00-15:50
「ルイ・ジューヴェの演劇美学がはらむ政治的モチベーションについて」

 近年、フランスの演出家グループ「カルテル」の一人で、20世紀前半の欧米を代表する演劇人ルイ・ジューヴェ(Louis Jouvet, 1887-1951)の仕事の見直しが行われている。ジューヴェはこれまで、その師であるジャック・コポーと同じく、戯曲・テクストを重視する演劇の提唱者、実践者と見なされてきた。しかし最近、大戦間期という彼が特に活躍した時代の文化的・社会的ダイナミズムの潮流の中でその仕事を捉え直す気運が高まっているのである。例えば、ジューヴェの未発表の演劇論を検証し、その演劇活動を、諸芸術・技術の超領域的混淆の時代であった大戦間期に特有の、実験的な手法を多用したスペクタクルの構想・実現過程として読み替える提案をしたエーブ・マスカローの研究は記憶に新しい(Louis Jouvet, introduction et choix de textes par Eve Mascarau, Paris, Actes Sud-Papiers, coll. « Mettre en scène », 2013)。
 本研究発表も、このような「大戦間期とジューヴェ」という視点に基づくものである。具体的には、芸術・演劇がかつてなく政治化した時代でもあった当時におけるジューヴェのポジションを探ることを目的とする。大戦間期においては、ロシア共産革命や第一次世界大戦といった未曾有の事変が、社会のあり方と向き合う作品を作らねばならないという問題意識を芸術家達にかき立て、演劇の領域においても、問題演劇やプロレタリア演劇、民衆演劇といった傾向的な表現が趨勢を占めた。
 このような政治化する演劇シーンの中に組み込まれるものとしてジューヴェの演劇活動も理解されうるのではないか。本発表では、この「政治的演劇人ジューヴェ」という構想の第一段階として、彼の演劇論に読み取られる政治演劇の理念を明らかにする。

発表者プロフィール:たのくち せいご
早稲田大学文学研究科博士後期課程、パリ西大学視覚芸術学研究科演劇コース博士課程在学中。2010-2011年度フランス政府給費留学生ののち、日本学術振興会特別研究員(DC2, 2012-2014年)。2011年パリ西大学演劇学研究科修士課程修了。専門:民主主義体制下のフランスおよび日本における「政治的であること」を標榜した舞台芸術の歴史・理論の研究。

主な研究業績:① « Le théâtre politique sur papier : une étude sur le rapport entre les drames giralduciens publiés et leur public », in Simona JISA et alii (dir.), Jean Giraudoux : écrire/décrire ou le regard créateur, Casa Cărţii de Ştiinţă, actes du colloque international 9-12 mai 2013, Cluj-Napoca, Université Babes-Bolyai, décembre 2013, pp. 47-54. ②「演劇とデモクラシー――政治的言論生産装置としてのジャン・ジロドゥ『ジークフリート』」、『フランス語フランス文学研究』103号、pp. 217-232, 2013年。③「ジャン・ジロドゥの《人民演劇論》」、『西洋比較演劇研究』、Vol. 12 No. 2, pp. 162-173, 2013年。

2  合評会16:00-18:00
本会紀要『西洋比較演劇研究』第13巻第1号(英語)・第2号(日本語)に掲載された何本かの論文の合評会です。これまでも同様の合評会を何度か行なって参りました。紀要がWeb上公開となってからは、初めてとなります。執筆者の居住状況やスケジュールとの関係で、調整した結果、今回は次の4本のみについての合評会となります。それぞれ内容を要約することなく、ただちに各30分ほどの質疑応答をおこないたいと思います。ご参会予定の方は、ぜひとも論文を読んでおいでください。

英語論文
“Revolutionary Theatre” or “Syncre-Theatre”: Derek Walcott’s Walker (2002) and the Representations of Temporality. Yuri SAKUMA (p.39-54)
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Derek Walcott: A Caribbean ‘National Theatre’ vs. Neo-Colonialist Tourism.
Chihoko MATSUDA (p.69-81)

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日本語論文 
ミュージカルThe Mystery of Edwin Drood における劇中劇構造と歌の劇的意義の分析
藤原 麻優子 (p.94-107)
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境界を内破する ─キャリル・チャーチル『トップ・ガールズ』における身体
鈴木 美穂 (p.108-119)
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執筆者紹介(刊行時点)はこちら

問い合わせ 山下純照 y3yamashあっとまーくseijo.ac.jp

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