西洋比較演劇研究会12月例会のお知らせ

連続シンポジウム「スタニスラフスキーは死んだか?」第3回・総括:ラウンド・テーブル・セッション

日時 2014年12月13日(土)14:00-18:00 場所 成城大学3号館大会議室

司会 日比野啓(成蹊大学准教授)

ディスカッサント 井上優(明治大学准教授)・新沼智之(明治大学非常勤講師)・毛利三彌(成城大学名誉教授)・安田比呂志(日本橋学館大学教授)・山下純照(成城大学教授)[五十音順]

西洋比較演劇研究会では、連続シンポジウム「スタニスラフスキーは死んだか?」を、これまで以下のように二回実施してきました。

2012年12月例会「スタニフラフスキー・システムの歴史的検証」(講師:浦雅春・堀江新二)
告知:西洋比較演劇研究会公式サイト
概要:『西洋比較演劇研究』第12巻第2号「例会報告」

2013年12月例会「日本におけるスタニフラフスキー」(講師:藤崎周平・笹山敬輔)
告知:西洋比較演劇研究会公式サイト
概要:『西洋比較演劇研究』第13巻第2号「例会報告」

最終年度となる今年度は、専門家をお招きしてその研究成果を伺うかわりに、これまで議論されてきた内容をもとに、西洋比較演劇研究会の会員有志によるラウンド・テーブル・セッションを行い、三年間の総括を行います。

ラウンド・テーブル・ディスカッションの進行次第を以下のように変更します。直前の変更は望ましいものではないですが、聴衆のみなさまのより広汎な理解が得られ、結果としてフロアからのディスカッションが盛り上がることを期待して、苦渋の決断をいたしました。ご寛恕いただければ幸いです。

進行次第

第一部:スタニスラフスキー・システム基本概念の批判的検討(約60分)
第二部:司会からの『俳優の仕事』の「新しい」読み方の提案(約60分)
(休憩)
第三部:ディスカッサントによる議論:スタニスラフスキー・システムの現在における有効性(約60分)
第四部:フロアからの議論・まとめ(約60分)

議論を発展させるために当日に配布する資料として「第一部レジュメ」(日比野)「第二部レジュメ」(日比野)および「スタニスラフスキイについて」(毛利)という三点のPDFファイルをあらかじめアップロードしておきました。事前に目を通しておいていただければ幸いです。

第一部:基本概念の批判的検討(約60分)
多様な解釈を許容する、矛盾をはらんだテクスト=「古典」としての『俳優の仕事』という前提をもとに、ディスカッサントおよび司会が、スタニスラフスキー・システムの基本概念(の一部)を説明し、その内実を批判的に検討します。新訳における訳語の適切さや、スタニスラフスキー自身の用語使用の「揺らぎ」についても言及されることになるでしょう。

[担当概念:担当者(変更の可能性あり)]

  1. 魔法の<もしも>・与えられた状況:井上
  2. 注意の対象(光の輪)・交感[交流]:安田
  3. 断片と課題・ポドテクスト:山下
  4. 「我あり」・適応・舞台における内的な自己感覚:日比野
  5. 貫通行動[一貫した行動]・超目標[究極課題]:新沼
  6. 身体的行動:毛利

第二部:司会からの『俳優の仕事』の「新しい」読み方の提案
21世紀の現在から、ほぼ百年前のテクストである『俳優の仕事』に書き込まれたイデオロギーや「偏向」について検討します。といっても、それは「あと知恵」でスタニスラフスキーを批判するためではなく、今スタニスラフスキーをアクチュアルなものとして読むために必要な「構え」を共有するためです。具体的には、以下の6点についてお話します。

  1. リアリズム=「持続する時間」の表象
  2. 科学主義
  3. 機械論的人間観
  4. 主体の統一性という神話
  5. 折衷主義
  6. 観客の観劇態度を教育するものとしての『俳優の仕事』

第三部:ディスカッサントによる議論:スタニスラフスキー・システムの現在における有効性
第一部・第二部で話し合われたことを受けて、スタニスラフスキー・システムの現在における有効性をディスカッサント間で自由に議論を行います。昨今の上演作品(国内・海外)における成功例・失敗例なども具体的に取り上げられることになるでしょう。

第四部:フロアからの議論・まとめ
第一部から第三部で話し合われたことを受けて、フロアから質問・疑問を受けつけ、必要があればディスカッサント・司会を交えて議論を行います。最後に司会がまとめを行い、今後のスタニスラフスキー・システムの活用の見通しを語ります。

具体的にはまず、以下の問いについてディスカッサントおよび司会がそれぞれ自分なりの「答え」を持ち寄ります。「筋書」のないセッションですが、答えの根拠の正当性を互いに問い質すことを通じて、スタニスラフスキー・システムの理解を深めることをめざします(約120分)。

  1. 日本において、サブテクストや「魔法のもし」といった、スタニスラフスキーがその著書で提唱し、それ以降の俳優訓練や公演に向けての舞台稽古で——ときとしてスタニスラスキー由来であることが余り意識されずに——用いられ、普及してきた方法論がある一方で、究極課題[超目標]のような、今ではあまり用いられなくなってしまった方法論もある。後者は、なぜ省みられなくなったのか。演技についての私たちの認識が変わったからなのだとすれば、それはどう変わったからなのか。
  2. スタニスラフスキー・システムが近年の上演(国内および海外)でも有効であるとしたら、それはどんな点なのか。スタニスラフスキー・システムによる訓練/舞台稽古の成果があった、と考えられる近年の上演にはどのようなものがあったか。
  3. スタニスラフスキー・システムが観客と観劇態度に及ぼした影響はあるか。観客論の見地からスタニスラフスキー・システムを論じることは可能なのか。

つぎに、ディスカッサントはみな演技論に関心がある研究者ですが、スタニスラフスキーを専門に研究している人間はいません。専門とする分野も、イギリス演劇・ドイツ演劇・アメリカ演劇・北欧演劇と様々です。そうした「外部」の視点から、スタニスラフスキーはどのように見えてきたのか、ということについても互いの認識をすり合わせたいと考えています。当然それは、スタニスラフスキー・システムの「普遍性」の議論にもつながるはずです。スタニスラフスキーが考えていたリアリズム、そしてスタニスラフスキーが直接対峙していた二十世紀の変わり目のロシア演劇という「限界」を超えて、現在私たちが考えるリアリズム、そして世界演劇(とりわけ日本演劇)でスタニスラフスキー・システムをどう使うか、あるいはどう使えないか、について、自由に議論していただきます(約60分)。

最後に、フロアからも積極的に議論に参加いただき、これまで出てきた問題を別の角度から検証し、これまで論じられなかった話題について整理し、将来への展望につなげます(約60分)。

会員のみなさんはふるってご参集ください。また非会員のかたのご見学も歓迎します。当日お名前と(あれば)所属をお書きいただくだけで、事前のご連絡は不要です。

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